INSTINCT MACHINEGUN

ポケモン好きのサンガサポ。夫はセレッソサポのパンダ氏。ゆるすぎる観戦記やら旅行記やら。

ジーザス・クライスト=スーパースター観劇記(2012年11月4日)

えっと、また1か月近く経っているのですが(笑)
11月4日に、東京の自由劇場
ジーザス・クライスト=スーパースター」のエルサレムバージョンを観に行きました。
遅くなったけど、観劇記を書いておこうかと。


写真は新幹線から見えた富士山。

実際に書き始める前にひとつだけ。
私は基本的に、この劇そのものが好きなので、あまり批判的な内容は書きたくありません。
(もともと物事を好意的に解釈してしまう性格もあると思いますが。)
そりゃ私にも、この役者さんが好きだとか、この部分はあの役者さんの方がよかったとか、
そういう気持ちを持つことは多々あります。
でも、今現在演じている役者さんを、(本人の過去とならともかく)以前の出演者と比べることはあまりしたくない。


私はこの作品をきっかけに、イエスの受難物語に関する小説や研究書をいろいろ読むようになったのですが、
受難物語の何がそんなに面白いかというと、同じ聖書の物語を題材としているのに、
書く人それぞれに解釈が違い、様々な内容が描き出されるからです。
そのたびに、自分にはなかった新たな考え方や視点を発見するのが面白いのです。


だから私は、過去の誰々の方がよかったとか、あれが正しい解釈とかは考えたくなくて、
「この人はもしやこういう解釈で演じているのでは」とか、「ああ、この演技からはこういう解釈も生まれるなぁ」とか、
そういう「今」の役者さんだからこそ見えるものを見ていきたい。
好意的な感想すぎるかもしれないけれど、「受難物語」の、自分では気づいていなかった新たな側面をどんどん見つけていきたい。
この人は何を思って、何を感じて演じているのだろう。
それを見たくて劇場に通っています。
そしていつか、「だれだ あなたはだれだ」というジーザスへの問いへの答えが見つかることを信じて。


・・・と、前置きが長くなりましたが。
自由劇場は人生2回目!

前回公演では手拭いを買ったのですが、今回はメタルチャームを購入しました。
ゴールドとシルバーの2種類あったけど、迷わずシルバーにしました!
だってユダが銀貨30枚でジーザスを売るんだもの・・・


以下、劇の流れに沿ってつらつらと書いていきます


●序曲 / Overture


序曲が始まって照明が落ちただけで、この作品をまた観に来れたことが嬉しすぎて泣いてしまう自分はいい加減重症だと思うw
まだ何も始まってないのに泣くとか自分おかしいやろすみません。


久々に見た母上が、照明がついた瞬間現れる群衆に驚いていた!
何回も見てるとこういう新鮮な驚きをなくしてしまうのが寂しかったり。


●彼らの心は天国に / Heaven on Their Minds


私はユダのファンなので、ユダの歌いだしを聴くとそれだけでまた泣けてくるwwwどうしてこうなったwww
けっこう冒頭は冷静かつそわそわしているので、いろいろ見渡してみたり。
というか、何度もこの作品を見るようになって、やっと見渡す心の余裕がでてきたかな。


そんで今回初めて最初からシモンとペテロがいたのを認識したw
いや、前から薄々いるんだろうなーと気づいてたけど、最初からじっくり見たのは初めて。
最初は本当に「いち群衆」としてまぎれてるもんなぁ…。衣装の色が途中で変わるのは気のせいじゃないよね?


●何が起こるのか教え給え / What's the Buzz 〜 不思議な出来事 / Strange Thing Mystifying


やっぱり芝さんはいろいろ安定してるなーとしみじみ。
今回はメインがこの演目のベテランばかりだったから、全体的に安心してみていられた。
(ちなみに1か月ほど経ってるので、このへんは記憶が薄れてきている・・・)


●今宵安らかに / Everything's Alright


芝さん、「私が去ったあとはー」の「はー」が苦しそうで、キーが合ってないのかしらと思ってしまった…。
この数日後、芝さんは降板しちゃったわけだけど、
ゲッセマネといい、このころから体調(喉?)がおかしかったのでは・・・と今となっては思う。


ジーザスは死すべし / This Jesus Must Die


私この歌は好きなので心躍った!
アンナスはやっぱりワイスさんくらい声高い方がいいなあ。映画版のアンナスも一人だけキーがはっきり違うし。
「それじゃ」のファビョった出だし方が好きです。


●ホザナ / Hosanna


この曲の冒頭に群衆がどわわわってくる場面が好きだw
舞台左そで寄りの前方で見てたので、司祭たちが近くにきてドキドキしたぜ・・・!


あと、ホサナのときのシモンの笑顔がものすごく輝いててよかった。
本当にジーザスを、それこそ狂おしいほどに信じていて、本気で祖国を助けてくれると信じてるシモンがそこにいた。


●狂信者シモン / Simon Zeaalotes 〜 哀れなエルサレム / Poor Jerusalem


▽に並んだ群衆が目の前で「みんなあなたを愛します」を歌ってたので、
ものすごい威圧感でした。
というか、最前列の人と目が合ったりしないように、みんな少し上目使いしてるのね。


私はもし四季に入団できたらシモンを演じたいと思うほどこの歌が好きで、
シモンという存在ももちろん好きで、毎回のめりこむように見てるんだけど、
今回だけは違った。別のキャラクターに目を奪われてしまった。


それはペテロ。


私は実はペテロが(キャラクターとして)嫌いで、というかぶっちゃけ聖人としても嫌いなんだけど
(ペテロだってジーザスを見捨てたのに許されてる感じがなんか卑怯で好きになれない・・・)
なんというか、神永ペテロは違った。


というのも、シモンの歌の時って、群衆が交互に舞台前方に駆け寄ってくるじゃない?
そのとき神永ぺテロは、ひとりだけ、「がぁー!」みたいな、動物が相手を威嚇するような声を出していた。
絡んだ痰をガーッってするような、喉を鳴らすような音。たぶん最前列に近い人にしか聞こえなかったと思う。
でも、私はそのアドリブにすごく惹かれた。すごくパワーが伝わってきて。
後でも書くけど、神永ペテロは本当に演技が細かい。
この作品を見ていてはじめてペテロというキャラクターに好印象を持った瞬間でした。


●ピラトの夢 / Pilate's Dream

とにかくピラトが近すぎてふるえた記憶しかない!(笑)
衣装の模様までじっくり観察できた。


ジーザスの神殿 / The Temple


途中のざわざわしてるところで、「ありがとー」って関西のイントネーションで言ってる女性がいてワロタw
あと、ずっと可愛い小鳥の行方を見守っていたんですが、この日は売れなかったですw


●今宵安らかに / Everything's Alright 〜 私はジーザスがわからない / I Don't Know How to Love Him


高木マリアの見せ場。
正直に書くと、一緒に行った母上は「高木マリアは好きになれない」と言っていました。
なんか強くて性格キツそうだし、慈愛が感じられない、と。


たしかにそうかもしれない。
でも、私はそんなマリアを見ていて、マリアの新たな面に気づいた気がします。
これまで、この作品のマリアは、映画版のイヴォンヌ・エリマンもそうだけど、
とにかく優しい、純粋でたおやかなイメージを持たれることが多かったのでは。


しかしよく考えると、マグダラのマリアはこれまで娼婦なんだったわけで。
そんでジーザスと出会って初めて、「愛情」という気持ちを知るわけで。
そう考えると、マリアって優しくて純粋なだけではないと思うわけです。
というか、そんな性格の人だったら、 娼婦という過酷な仕事はこれまでやってこれなかったと思う。
マリアは強いからこそ、娼婦として生きてこれたのではないか。
そんなことに気づかされました。


マリアは一生懸命にジーザスを愛そうとする。
でも、これまで「愛すること」を知らなかったマリアの愛情は、
ひたむきで真っ直ぐであると同時に、おそらく不器用だったはずです。
相手をもてなすことは得意だったかもしれませんが。
そんなマリアだからこそ、ジーザスは「私の心を知る者はおまえ」と告げたのではないだろうか、と。


●裏切り / Damned for All Time〜賞金 / 賞金 / Blood Money


一方、同じようにジーザスの愛し方がわからないユダは、どんどん暴走して空回りしていく。
ユダが銀貨つかんだ後、照明にてらされた目元が光っているのが見えました。
ユダ、泣くな・・・と思うとこっちまで泣いてしまったよ…。


ていうか銀貨つかむ瞬間、まるで威圧してるかのように、背景にカヤパとアンナスの影が大きく映るのね。
これまでユダばかり見ていたせいか、初めて気づいた。


●最後の晩餐 / The Last Supper


例によってジーザスとユダのやりとりに号泣してたわけですが(←泣いてた報告はいらない)
ここでも神永ペテロが最後、走り去るユダに「ユダ!!」って(口パクで?)声かけてました。
人生ではじめて「ペテロいい奴だ・・・」と思った(笑)


神永さんは、もしかすると歌というか演技で魅せる役者さんなのかなぁと思ったり。
その後ジーザスに抜擢されてた時は腰抜かしたけど(笑)
でも、ほかの方が書いた神永ジーザスの感想を読んでいたら、「演技が細かかった」と書いている人がいて、
あぁ他の人から見てもそうなんだなぁ、と。
私はそういう細かいところが気に入りました。


●ゲツセマネの園 / Gethsemane...I Only Want to Say


芝さん、「死にざまーーー」で最後ちょっと(ギリギリバレない程度に)息ついでて、思わず心のなかで頑張れと応援してしまった!
前回はこんなことなかったし、やっぱり調子悪かったんだろうなぁ・・・。


しかし、わたしが芝ユダ見たことないから思えるのかもしれないけど、芝ジーザスはそれはそれで良いと思う。
確かに十字架のシーンで「これなかなか死にそうにないぞw」って一瞬思ったりもしたけど、
このゲッセマネは力強くて圧巻だった。
なんていうか、意志の強さを感じた。


うん、芝ジーザスは強い。
何が強いかって、芯が強いジーザスなんじゃないかって思った。
悩むし苦しむけど、「強さ」を持っているから、根っこのとこでは全て受け入れて耐えることができるジーザス。
だから「ただの男」だけど、同時に彼は神様なんじゃないだろうか。
そういうジーザスがいてもいいと思う。


●逮捕 / The Arrest


舞台の片隅でちっちゃくなっているユダがほかのお客さんの頭で見えないのが悔しすぎたw
このへんからだんだん群衆のテンションが上がってきたような。


●ペテロの否認 / Peter's Denial


なんていうか、ペテロすごく卑怯者オーラ出てた(←褒めてる)。近くで見たせいかもしれないけど。
やっぱり演技で魅せる方が得意な役者さんなのかなぁ。
数年前に見たときは正直あまり印象に残らなかったけど、今回ほんとによかったよー。


●ピラトとキリスト / Pilate and Christ


最初の方で群衆が「ジーザスがつかまったぞ」ってボソボソ噂話してるのが初めて聞こえた。
このへんから本当に群衆が熱く感じたんだけど、これはもしかして自分がどんどん舞台にのめりこんでたからなのか。
それとも翌日が休演日だから遠慮がなかったのか(笑)


ヘロデ王の歌 / King Herod's Song


これまでタイミングとかが悪くて見れなかった噂の下村ヘロデを初めて拝見しました。
過去は知らんけど、今でも十分すごくきらびやかで美しくてびっくり…!!
なんていうか、「超贅沢な暮らしをしてきて、これまで美しいものしか目にしてこなかった王様オーラ」が出てました。
アラビアの王様みたいな感じ。このシーンばかりは宝塚かと思ったぜ!


●やり直すことは出来ないのですか / Could We Start Again Please


●ユダの自殺 / Juda's Death


ユダが死ぬときの演技は圧巻だった・・・!さすがの一言。
ぐんぐんユダの狂気に引き込まれていって、動機がしたくらい。
そりゃこんな演技続けてたら、金森さんも(アルプで言ってたように)精神的におかしくなって当然だよなぁ…。


●ピラトの裁判と鞭打ちの刑 / Trial Before Pilate


ジーザスをひきずってる二人の兵士が移動のたびに「せーの」って言ってたのが気になりすぎたww
このあたりから「もう今回の公演も終わるのか・・・」と別の意味で切なくなってくる。


●スーパースター / Superstar


ウルガールが真ん前だったのにユダだかり見ててごめんなさい。
ユダの腕の鎖が手錠を表していることに初めて気づく。
やっぱりユダええわー。ユダっていう存在がいい。


●磔 / Crucifixion
ヨハネ伝・第19章41節 / John Nineteen Forty-One


ジーザスの死に、劇が終わってしまう寂しさが加わってしんみり。
しかし芝さん本当に痩せたなぁ・・・(そこかよ)


カテコではユダが少し元気なかったから、今回も役に入り込みすぎじゃないかと思って心配したけど、
(京都公演のときは死人のようなオーラ出してて、のちにアルプで「当時はユダに入り込みすぎて精神的におかしくなってた」と言ってたので。
 去年の公演ではニコニコしてたし余計に・・・)
最後の方では笑顔も出てたし大丈夫かな…?


とにかくあっという間の、でも夢みたいな2時間でした。
本当に生きててよかった。生きてこの劇をまた観れてよかった。
次はいつになるかわからないけど、また生きる目標ができました。

最後に東京タワーの写真を載せて終わりにします!
またいつか関西にも公演にきてくれますように・・・