INSTINCT MACHINEGUN

ポケモン好きのサンガサポ。夫はセレッソサポのパンダ氏。ゆるすぎる観戦記やら旅行記やら。

2011年6月の読書

6月の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:1668ページ

大いなる遺産 (上巻) (新潮文庫)大いなる遺産 (上巻) (新潮文庫)
すべての時間が止まり、色あせて古びた屋敷。そこに住むミス・ハヴィシャムは、嫉妬と狂気に満ちていて恐ろしいけど、同時にどこかゴシック的で、魅かれてしまう。でもディケンズの魅力は、善良そのもののような人間を描けること。ウェミックの年老いた父親なんかは、愛さずにはいられない存在。
読了日:06月02日 著者:ディケンズ


大いなる遺産 (下巻) (新潮文庫)大いなる遺産 (下巻) (新潮文庫)
謎解きの要素もあって、後になるほど物語が急速に展開していった印象。ピップもエステラも、大人に操られる人形のような存在という点では共通してる。人間を変えてしまう本当の原因は、お金や地位ではなく「expectation(=期待や希望)」なんだろうなぁ。
読了日:06月02日 著者:ディケンズ


随筆宮本武蔵 随筆私本太平記 (吉川英治歴史時代文庫)随筆宮本武蔵 随筆私本太平記 (吉川英治歴史時代文庫)
研究者なんだなぁ。小説家である前に研究者。基礎となる学識がしっかりあるからこそ、面白い作品が書けるんだと痛感した。『私本太平記』の「筆間茶話」には、執筆期の時事的な話も出てくるんだけど、大規模な災害(昭和34年の伊勢湾台風)に対する政府の無能ぶりを批判してるくだりなんかを読むと、いつの時代も政治って変わらないんだなぁ、と思ってしまう。宮本武蔵については、武蔵は剣の道を追求することを楽しんでいた、とする見方にはっとした。井上雄彦の『バガボンド』も今まさに「戦いを楽しむ」ということがテーマになっているから。
読了日:06月10日 著者:吉川 英治


福音書のことば 上―旧約聖書から読み解く (NHKシリーズ NHKこころの時代)福音書のことば 上―旧約聖書から読み解く (NHKシリーズ NHKこころの時代)
著者さんはカトリックと補足。詳細なテキスト分析に基づいて福音書を理解するという、聖書学の入門書のような本です。個人的には、第六回のテレビ放送で「ユダは結局赦されたのか?」という問いに対して「赦すのは神なので、ユダが赦されるかどうかは人間には判断できない」と著者さんが回答していたことにすごく感銘を受けたのに、テキストにはその部分が収録されていなくて残念でした。下巻へ続く。
読了日:06月19日 著者:雨宮 慧


NHKこころの時代〜宗教・人生〜 福音書のことば(下) (NHKシリーズ)NHKこころの時代〜宗教・人生〜 福音書のことば(下) (NHKシリーズ)
「上」にも書きましたが、詳細なテキスト分析に基づいて福音書を理解するという本。その「テキスト分析」をする際に、おそらく聖書学の専門書なら、ヘブライ語ギリシャ語の原文をそのまま載せれば済むし、説明もしやすいのだろうけれど、これは一般向けのテキストなので、原文の代わりに日本語の逐語訳を載せることで対処しています。ヘブライ語の文法的説明をする必要があるのにヘブライ語そのものを一切使えない、というこのやり方は、筆者さんにとってものすごく大変だったと思うし、もしかしたら理解する上での障害になっているかも。
読了日:06月24日 著者:雨宮 慧

読書メーター