INSTINCT MACHINEGUN

ポケモン好きのサンガサポ。夫はセレッソサポのパンダ氏。ゆるすぎる観戦記やら旅行記やら。

最近読んだ本を一気に紹介

ファンタジーの魔法空間

ファンタジーの魔法空間

最近のファンタジーについて語った良書。
特に「視線」や「想像力」を扱ったものが多いって論には納得させられた。
これも映画やゲームの影響かなぁ。
ファンタジーブックガイド―次の一冊が決まらない人のための

ファンタジーブックガイド―次の一冊が決まらない人のための

これはいわゆる「ハリポタ後」のファンタジーのうち、主なもののあらすじと書評を紹介してます。
ブックリストとしてはすごく使えるし、あらすじも便利。
書評してる人は書店員・主婦・シナリオライター等多岐に渡っていて、ほとんど研究者ではないし、
基本的に好意的な評価をしているので、あまり参考になる…とは言いがたいような。
趣味程度で読むならいいけれど、研究目的で読むと少し「甘いなぁ」という感じですね。
まぁマイナーな出版社だし、本のスタンスからして軽めなので、仕方がない。そこを目指したんだろうし。
でも、唯一研究者である三辺律子さんという方の書評は、やはり一味違って、時々学術的にも参考になるようなことを書いておられます。
ファンタジー映画を書きたい!―夢と冒険のストーリー術

ファンタジー映画を書きたい!―夢と冒険のストーリー術

あえていおう、この本はネタであると。
いや、正直本当に、ファンタジー文学が好きな人にとってはネタですよ。
でも「ファンタジー映画」を作り手がどう(安易に)捉えているかわかるし、
そもそもこういう本が出ているという事実だけで、映画界でのファンタジーの勢力の増大を示してると思う。
レイチェルと滅びの呪文

レイチェルと滅びの呪文

最近のファンタジーはめったに読まないけど、研究目的に珍しく読んでみた。
読む前の印象は裏切られなかった。ゲームっぽい、というか軽い。薄い。
なんだろう、いかにも子供向け、という感じかな。
ナルニアとかも完全に子供向けなんだけど、それとはまた違う子供向け。前者が「重い子供向け」なら、これは「軽い子供向け」という感じ。うまくいえないけど。


ろくな説明もなしに、ものすごい勢いで(しばしば安易に)話が展開するから、時々わけわからなくなったりする。
子供向けだからこのくらい単純な方がいいのかもしれないけど、でも「単純」と「説明不足」は違うぜ…。
一番引っかかったのが、レイチェルが突然魔法を使えるようになって、それにほとんど驚いたり、戸惑ったりしてないこと。
いや、ちょっとは驚いたりしてるんだけど、「とりあえず軽く驚いた描写を入れてみたんですが」程度。安易だな、うん。
感情描写は薄いわりに、流血描写とかが妙にリアルなのが困る。


なんかね、こういうファンタジーはやっぱりある程度説明入れないといけないと思うんですよ。非日常世界なんだし。
最初から魔法が使える、とかならこの程度でいいと思うけど、「突然魔法が使えるようになる」という複雑な設定にするなら、それなりに説明は必要になってくる。それが足りない。
で、説明がいる、となると、よほどうまく書かない限り、子供(小学校低学年)向けに書くのは難しいと思うんだよね…。
せめて対象年齢を上げてもっとしっかりした描写をするか、話をもっと単純化するべき。
あ、いい言葉が思い浮かんだ。「短い割に詰め込みすぎ。」これだ。


なんかこの本だけいっぱい語ってしまった。
思うところがそれだけ多かったんだなぁ。

デルトラ・クエストI (1) 沈黙の森

デルトラ・クエストI (1) 沈黙の森

最後はこれ。
「レイチェル」よりもこっちの方が読めた。
単純だけど、対象年齢に合わせた単純化というか、ちょうど分量や文体に合わせた、いい具合の話の単純さ。
話の重さはやっぱり「レイチェル」だけど、重い話を適当に書くくらいなら、軽い話をしっかり書いてある方がいい。
要はバランスやね。


まぁ内容はいかにもRPGだったんだけどね。
いきなり年月が5年とか10年とか飛ぶからびっくりした。でもそれ以外は普通に読めた。
あと装丁ピカピカだぜ。子どものことをよく考えた本だ。
「レイチェル」とちがって、こっちは「ありかな」と思った。