INSTINCT MACHINEGUN

ポケモン好きのサンガサポ。夫はセレッソサポのパンダ氏。ゆるすぎる観戦記やら旅行記やら。

バガボンドを読む・3

一番言いたい部分は昨日書き終えた感があるんだけど
今日も懲りずに13巻について書いてみる。

「この世に生まれて… 17年生きた  何のために?」(2巻 13話)

この「バガボンド」という作品のテーマはいろいろあると思う。
剣術や仏教思想はもちろん、イノタケさん自身がよく言っている「身体」も重要なテーマだろう。
でも自分は、バガボンドに描かれている「孤独」というテーマに惹かれている。


武蔵もお通も天涯孤独だし、そういや胤舜も孤独感と戦ってたっけ。
そして、13巻の主人公ともいうべき辻風黄平(後の2代目宍戸梅軒)も孤独な男だ。
13巻の巻末には、黄平の少年時代の物語が付属されている。
親にも捨てられ、兄からは欲望の対象としか思われておらず、それがトラウマ化してEDにもなってしまい、最終的には蔵の中に閉じ込められてしまう黄平。
126話〜127話は、少年時代の黄平がいかにして「自分は無価値だ」と認識していくかという物語だ。

冬―― 辻風黄平12歳
命に価値はないと悟った(13巻 127話)

この少年時代の挿話の中に、姫苺が「バガボンド」で1,2を争うくらい好きなシーンがある。
それは、森の中で、黄平の(おそらく死んでいる)体を野生の動物達がついばみ、やがて骨だけになった黄平の体から芽が出て、成長し、最後には立派な木になる…というシーン。
これは黄平の夢なんだけど、彼はこの夢を見たいがために、蔵の中での無価値な日々を生き延びる。


黄平は、蔵の中で無駄に生き続けている自分を「無価値」だと思ってるわけだけど、
この夢の中では、死後に動物達の糧となり、樹木の養分となることで、彼らの生命を支えるという「価値ある存在」になれている。
だから黄平は、この夢が好きだったんだろうなぁ。
この夢の中でだけは、自分が無価値じゃないから。


しかも「木」になるっていうのがいいね。何十年もかけて大きく成長する大木。
物言わず、欲望も持たない穏やかな植物。
土に還ることで、自然、いや地球と一体化できるってのにも惹かれたのかもしれない。
「自然に還りたい」って理由で、自殺場所に樹海を選ぶ人も多いらしいけど、黄平もそんな気持ちだったのかなぁ。
だから死に場所を探してるうちに、「へんぴな山奥」の、初代宍戸梅軒と龍胆の住む小屋にまで辿り着いちゃったのかなぁ。


ちなみにこのシーンと首位争いを繰り広げているのは、11巻105話の「花で埋もれる柳生の庭」の絵。
たぶんその庭は「お通さんの帰る場所」だから好きなんだろうなぁ。


そんで成長した黄平は、兄の典馬を殺すことだけを目的に外へ出てくるけど、武蔵が5話で典馬を殺しちゃったので、武蔵を殺すことに決める。
2話のあたりの黄平ってけっこうポエマーだよね(笑)
しかしクソ坊…沢庵に阻まれ失敗、さらには佐々木小次郎との出会いによって、己の剣に対する誇りも何もかも失ってしまう。
(小次郎の出てくる243話「蛙」の感想はこっちで→バガボンドを読む(1)


で、死に場所を探してるうちに龍胆と出会い、初代宍戸梅軒を殺したことによって、彼女と奇妙な同居生活を始めるわけですが…。
余談だけど、13巻を先に読んだ後に12巻を読むと、龍胆がしゃべりすぎててびっくりするよね(笑)
しゃべりすぎといっても、台詞4つくらいしかないんですが(^ω^;)
でも個人的には何だか、龍胆がしゃべってると違和感感じるなぁ…。
イノタケさんもこの辺で違和感を感じて、小次郎を「言葉を用いないキャラクター」にしたんだったりして。


てか黄平と龍胆の過去話で、1つだけ解せないことがあるんだよね。
それは123話で、どうして龍胆は黄平に若干心を許す気になったのか、ってこと。
黄平が刺客のオッサンらを倒して、「俺が宍戸梅軒だ」と名乗ったことによって、龍胆は黄平と同じ服装に着替え、アケビを分け合って食べるわけですが、
この時、何が原因で龍胆の心境が変化したんだろう。


黄平は龍胆と戦う時に、かなり手加減していたのだと初めて気づいたから?
結果的に自分を守ってもらったから?
黄平が「敵ではない」って実感したから?
自分にはわかんない。龍胆にとっては、ものすごく大きな体験だったはずなのに。
自分がそういう体験をしたことがないからかな。


そんなわけで、2人は毎日鎖鎌でのバトルを繰り広げつつも、お互い本気で相手を殺すわけでもなく、かといって表だって仲良くするわけでもなく、という非常に奇妙な空気の中で暮らしてたわけだけど、
そこに武蔵が乗り込んできて、2人の関係に変化が生じる。


ってあー!! やっとここまで書いたのにまたタイムリミット!!(:ω;`)
お前どんだけ語るんだよwwwって感じっすね、すみませんサッカーの話も書かずに…
明日こそは…最後まで書こう…(・ω・;)